運送会社の大規模な配送センターで、宅配便などの荷物の仕分け作業を担っている後藤大輔さん。一方、10代の頃に引っ越しのアルバイトをしていた天野ひろゆきさん。そんな運送業の経験者同士だが、実は、マンガやゲームなど共通の趣味があることを発見し、すっかりふたりは意気投合。彼らの爆笑トークは、まるで漫才コンビ!?

 
人のクロストーク

天野ひろゆきさん(以下、天野):僕はね、オヤジが運送会社に勤めていた関係で、最初にアルバイトしたのが引っ越しの手伝いだったんですよ。

後藤大輔さん(以下、後藤):へぇー、そうなんですか!

天野:人さまの荷物を扱うって、大変な責任ですよね。バイトの時、なんでこんなヘンテコなモノを持っていくんだと思ったりもしたけど(笑)、きっとこの人にとっては大切なんだろうなぁって思えるようになりましたもん。

後藤:僕もやっぱり、一つ一つの荷物を大切に扱うように心がけています。

天野:さっき、後藤さんの仕事を少しだけ手伝わせてもらったけど、次々とベルトコンベアから送られる荷物を番号ごとに振り分けて、コンテナに積んでいく作業ってスゴい大変だね! 正直、仕事を辞めたいと思ったことないですか?

後藤:一度もありません!

天野:スゴい!! きっぱり言い切るなんて。たとえば、どういうところが楽しい?

後藤:大小いろんな荷物があるので、コンテナにきれいに隙間なく積めた時、やったー!と思えます。さっき現場で天野さんが「テトリスみたい」と言ってましたけど、ホントそんな感覚です(笑)。

天野:僕のところはしょっちゅう実家から味噌とか送られてくるんだけど(笑)、そうやって親が都会暮らしの子どものためにプレゼントを送るとか、それぞれの送り主だったり、受け取る人のことを考えたりする?

後藤:はい! 通常の荷物だけでなく、緊急や特殊な荷物もあるので、その時々で一つ一つていねいに伝票を確認して仕分けしています。

天野:僕はこれまでも荷物を届けてくれる人には優しく接してきたけど、これからもっと優しくしようっと!

後藤:あははははっ。ぜひ、そうしてください。

 

天野:来年の春で勤続10年、しかも欠勤なしって、スゴいですね! 職場では、障害のある後輩だけじゃなくて、新入社員やアルバイトの人にもアドバイスしてるんだって?

後藤:いやー(照れながら)、アドバイスとかって特に意識はしていないです。楽しく話している感じです。

天野:これは誰にも負けないって、自信があることは何ですか?

後藤:「力」です。最初からじゃないですけど、10年やっててこうなりました(腕を出す)。

天野:(腕を触って)うわーっ、硬い!! スゴい筋肉だ!

後藤:重たい荷物がベルトコンベアで流れてくると、最初の頃は一瞬ちょっとイヤだなと思ったことも実はありますが(笑)、今は嬉しいと思えるんです。これでますます腕が鍛えられるぞっと。でも、僕の周りにはもっと力持ちがいるので、まだまだ未熟者ですけど。

天野:後藤さんは前向きだし、ホント謙虚なんだなぁ。じゃ、普段から体には気を遣ってる?

後藤:…何も(笑)。甘い物が好きで、特にチョコレートが好き。お昼休みまで冷蔵庫でチョコを冷やしておくんです。今は「ダーツ」にハマっています。みんなにも配れるから。

天野:優しいんだねぇ。僕なら分けられない板チョコにするかも(笑)。体のケアとかしてるの?

後藤:筋肉をほぐす軟膏を持ってきているので、休憩時間に塗ったり。それくらいですかね。家に帰ると晩ごはんの後は、マンガ読んだり、ゲームしたり、ダラーンとしてますよ(笑)。

天野:マンガにゲーム、僕と趣味が同じだ! マンガはどんなのが好き?

後藤:『週刊少年ジャンプ』の『NARUTO -ナルト-』とか『ONE PIECE』とか『るろうに剣心』とか。

天野:うわぁ、まったく趣味が一緒だよ(笑)。『ジャンプ』で今面白いのはさぁ…。

―しばし、マンガ談義に花を咲かせるふたり。

 

天野:10年もがんばってきた、その原動力って何ですか?

後藤:仲間ですね。ここには何でも話せる仲間がいるから。それに僕は力仕事がやりたくて、憧れていた職場だったんです。あと、お給料をもらえるのも、がんばれる理由かな。

天野:お給料は嬉しいよね。僕は早く自立したいって気持ちが強くてバイトしたけど、後藤さんもそう?

後藤:はい! 小さい頃はお年玉とかお小遣いとか、与えられたお金ですよね? でも、社会人になってからもらったお金は自分で稼いだお金ですから。小中学生の頃から、早く働きたいと思ってました。

天野:わぁっ! それも僕と一緒だ。なんか共通点が多いね、僕ら。早く働きたいって、やっぱり自立心が強いってことだよね。もちろんお金がすべてじゃないけれど、やっぱり自分で働いて稼ぐって、やりがいというか。「生きている感」がありますよね。

後藤:はい、そうですね。でも、お給料日を忘れて、仕事に没頭しちゃうこともありますよ。真剣に仕事して、時間があっという間に過ぎていて、汗かいてる、気持ちいい、みたいな。

天野:その達成感、いいねー! それに楽しいと、時間があっという間なんだよね。僕が仕事でも人生でも大切にしているのは、まず自分が楽しむこと! 自分が楽しくないと周りの人にも楽しく思ってもらえないからね。仕事を選ばせてもらう時も「楽しそう」というのが選択基準。以前に上岡龍太郎さんから「人生は選択の連続だ」という話を聞いて、だったら僕は「ラク」を選ぼうと。

後藤:(笑)

天野:でも、ラクだけじゃナンだから「楽しい」を選ぼうと思ったんです。そういう意味の「楽」。そのためには、ちょっとした努力やツラいことも経験しないといけないけど、楽しくなるためならがんばれる。後藤さんはそれを地でいっているよね?

後藤:うーん、そうですか? 自分では気づいてないかも。でも、本当に仕事は楽しいです。

天野:きっと後藤さんが職場を楽しくしているんだろうなぁ。今後の目標は何ですか?

後藤:この仕事でずっとがんばりたい。中学生の頃は自分で稼いで一軒家を買うのが夢だったけど、でも家は高いからな。

天野:あー、僕も一軒家は夢ですね。でも、その前に僕は、嫁さんだな(笑)。

後藤:何才までに結婚したいとか、希望はあるんですか?

天野:あっ、質問されちゃった(笑)。僕ね、すでにその希望年齢なんですよ。誰かいい人、いませんかね?

後藤:あははははっ。結婚以外で、お仕事での目標はありますか?

天野:自分らの番組を持つこと。それと、漫才をやっているんですけどね、僕ら世代がネタを披露できる場所が少ない。でも、やりたいなぁと。ぜひ後藤さんも、僕らのライブの漫才を見に来てくださいよ。

後藤:はい! 喜んで。

 
 

■幼い頃の夢は?
 後藤さん スポーツ選手です。オヤジとキャッチボールしてたから、野球選手になりたいなと
 天野さん 昔から、テレビの仕事に就きたかったですね。漫才師かアニメの声優が夢でした

■リスペクトしてる人は?
 後藤さん 速水もこみち。リスペクトというより憧れかな
 天野さん オヤジ。実は僕、ファザコンっぽいところがあって(笑)

■好きな言葉は?
 後藤さん 「弱肉強食」
 天野さん 「楽」。ラク&楽しむのふたつの意味で

■趣味は?
 後藤さん マンガ、ゲーム、デジカメ撮影、カラオケ(ノリピーさんの曲)
 天野さん マンガ、ゲーム、フィギュア収集、料理、カラオケ(尾崎豊さんの曲)

■初めての給料、どう使った?
 後藤さん 貯金しました
 天野さん 家賃などの生活費と貯金です

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