ホーム
障がい者雇用事例／おおつかがゆく！
精神障がい者の雇用は難しくない。雇用すると意思決定すればいいのです。

障がい者雇用事例／おおつかがゆく！

2007.08.21

精神障がい者の雇用は難しくない。雇用すると意思決定すればいいのです。

富士ソフト企画株式会社　（富士ソフト㈱特例子会社）【神奈川県・鎌倉市】
取締役相談役　早津　宗彦さん

初めて精神障がい者を雇用したのは平成１５年。精神障がい者が法定雇用率にカウントされる３年も前でした。どうして富士ソフト企画では精神障がい者の雇用がうまくいくのか。その秘密を探ってきました

本社建物です。JR大船駅から徒歩１３分です。
会社で送迎を実施していますが、大船駅までは自力通勤が採用の条件です。

オフィスです。１人１台PC体制です。全員PCで仕事をしています。
サーバーの管理、グループ会社の名刺作成、データ入力、保険代店業務など多種多様な業務に従事しています

―取締役相談役の早津さんと、営業担当の折茂さんにお話をうかがいました。―

おおつか：今は知的障害の方、精神障害の方もたくさん働いていらっしゃいますが、最初は身体障がい者のみの採用だったそうですね。
早津さん：特例子会社の認定後しばらくして、地域の支援機関から知的障害の方の紹介を受けました。パソコンができるからぜひ実習だけでも受けさせて欲しいと。受け入れてみると、正確な仕事が得意でした。これだったら戦力になるかなと思い、採用に踏み切りました。最初に採用した彼が優秀だったので、その後はどんどん知的障がい者の雇用が進み、現在は２０名のスタッフが働いています。

早津さん：現在障がい者従業員１１６名のうち、４４名が精神障がい者です。これだけ多くの精神障がい者を雇用している会社は多くないと思います。
おおつか：特別な配慮があるのですか？
早津さん：採用条件は、自力通勤ができること。あいさつができること。身の回りのことができること。他人に迷惑をかけないこと。PCの操作ができることです。これは３障害共通です。精神障害の方は、PCの操作が得意な方も多いので助かります。
フレックスタイム制を敷いているので、本人の状況に合わせて勤務時間を柔軟に設定することができます。また、体調が悪い日など休んでも仕事に支障が出ないように、チームでひとつの仕事を進めています。

おおつか：富士ソフト企画さんならではの特別な工夫ではないような感じですね。
早津さん：そうなんです。会社として意思決定するかどうかということに尽きます。多くの企業は、入り口のところで逡巡していると思いますよ。
おおつか：そうなんですか！「雇用すると意思決定するだけ」なんですね！。単純ですが、ものすごく重要なキーワードですね。

―障がい者スタッフの皆さんにお話をうかがいました―精神障害スタッフのNさん：昨年の８月から働いています。以前の会社は（障害を持っていることを）クローズで就職していたので、苦労も多かったです。今は、体調が悪いときははっきりいえます。周囲もサポートしてくれる。気分的に楽です。ある月刊誌に掲載する情報を整理する仕事ですが、自分たちの仕事が実際の本になったときは本当にうれしい。納期に追われることもあるのですが、その分やり甲斐を感じます。

おおつか：労働時間はどれくらい？
Nさん：今９時から１６時までの勤務時間です。環境と仕事になれるまで半年くらいは、ちょっと大変でした。今は１７時まで延ばせるようにがんばっています。今後は、人に教えられるようになりたいと思っています。

―知的障害スタッフの木村さん：今年で５年たちます。情報システムグループでホームページ製作などを担当しています。―

おおつか：最初からホームページの仕事を？
木村さん：最初はいろいろやってみました。でも長い間同じ仕事を続けるのは苦手なので、いろんなことができそうなホームページ製作の仕事をしたいと上司にいいました。お客さんのところに同行することもあるんですが、結構大変です。でも面白い。いろんな人にも会えて、僕にはあっている仕事のひとつかもしれません。
おおつか：お給料は何に使いますか？
木村さん：今年の春から１人暮らしを始めたので、家賃や公共料金も自分で払っています。友達とカラオケに行ったりすることもあります。１人暮らしするのも自分で決めました。自分のことを自分で決めるということは大変だけど自由です。とても満足しています

早津さん：おかげさまで従業員が質の高い仕事をしてくれて、引き合いも多いです。作業量が追いつかないのでは、と思うこともあるのですが、ほんとうによく働いてくれます。
おおつか：今後も積極的に採用を進めて行かれますか?
早津さん：もちろんです。いい人がいれば、もっともっと採用していきたいと思っています。