障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

続けることで働く力を発揮する。 企業も障がい者本人もあきめないことが大切です

株式会社ピークヤム【東京都】
取締役 谷口 さち子さん

精神障がい者の雇用に取り組むようになってすでに10年。霞ヶ関ビルや浦安の大規模なショッピングセンターのレストランやカフェ、お弁当販売の仕事の中で、精神障がいのあるスタッフが普通に普通に働いています。なぜ精神障がい者?という問いに「身体障がい者だと車椅子の通るスペースはないし、知的障がい者だとお金を扱う仕事をこなせないという理由」と至ってシンプルなお答え。興味津々でお訪ねしました。

おおつか:障がい者の雇用を始めた理由はオーナーの方針によるものであったとか。
谷口さん:ピークヤムの創業は1997年です。オーナーは海外勤務経験も長く多様な国籍や人種の方との交流も抱負でした。日本に戻って起業するときに、外国人、高齢者、障がい者などいわゆる就労困難な人たちにも区別なく採用の門戸を開きたいと思って、広く募集したそうです。外国人も来た。高齢者も来た。障がい者の採用するためにはどこに声をかけてよいかわからなかった。いったい日本で障がい者はどこにいるんだ?と。

おおつか:初めて障がい者が加わったのはいつですか?
谷口さん:創業の翌年1998年です。オーナーと精神障がい者の作業所との縁ができたことがきかっけでした。霞ヶ関ビル内にある一角でコーヒーを売る仕事をお願いしたことが始まりでした。
おおつか:谷口さんはその当時ピークヤムで働いていたんですか?
谷口さん:その作業所のパート職員でした。メンバー(障がい者)達はマージャンをして、タバコを吸って・・・・という時間を過ごしていました。普通の主婦の感覚として(笑)、病気があるとはいえ、ちょっと違和感を覚えたのも事実です。もっと社会で働けるのでは?もっと彼らと社会をつなげることが必要だと思っていました。でも出口が見つからない。

谷口さん:そんな中、霞ヶ関ビルでコーヒー販売の仕事が来ました。作業所の施設長の方達はみんな否定的でした。「会社に利用されてしまうのでは?」という不安からです。思わず言いました。「メンバー(障がい者)達は実際、どこまで戦力となって働けるのはわからない。会社の力を借りるのは私達の方ではないですか?」と。
谷口さん:「だめだったら彼らが傷つく」ともいわれました。私は「だめだったら戻ってくればいいじゃないか」と言いました。
おおつか:どうやって説得したんですか?
谷口さん:結局、私が一緒にコーヒー販売をやってくれるんだったらやるということになりまして。
おおつか:ミイラ取りがミイラになった?
谷口さん:そうですね~(笑)。

おおつか:障がい者スタッフはどんな仕事をしていますか?
谷口さん:現在4名の精神障がい者が働いています。雇用形態は正社員、アルバイト、実習、社会適応訓練事業による研修と様々です。食器洗浄、そうじ、後片付け、調理補助、ホール接客など段階的に仕事を覚えていってくれています。
おおつか:とても普通な感じでいいですね。
谷口さん:特別扱いはしていません。うち(ピークヤム)は働く場ですから。病気を見ていくところではないんです。どういう症状だとか、具合が悪いとかを懇切丁寧に知ったからといってもどうすることも出来ないです。病気を抱えていていてもできる仕事はある。その人の力に応じて参加していってくれればいいんです。そうすればどんどん可能性が広がります。

おおつか:障がい者スタッフにはどんなことを言っているんですか?
谷口さん:長い間には具合が悪くなってやめていった人もいます。でも細々でも良いから続けて欲しいと言っています。「簡単にあきらめないで」と。後の人(働きたい障がい者)のためにもね。

おおつか:今後のビジョンを教えてください。
谷口さん:障がい者雇用だからと大上段に構えていません。それぞれの持ち味を活かした仕事があると思ってます。会社が大きくなれば自然と障がい者の働く場も増やせると思ってますしね。

~おおつかのひとりごと~

大きなショッピングセンターのレストラン街にある普通のレストラン。普通に障がい者が働く。当たり前のことなんですよね。「たいした事やってませんから」と控えめに話す谷口さんの笑顔とエネルギー。大変僭越ながら谷口さんを福祉起業家と呼ばせていただきます~!

訪問先データ

ショップ名:カフェ ショコラ トゥル ドゥ
(株式会社ピークヤム 経営)
住所:千葉県浦安市入船1-4-1 新浦安ダイエー内

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