横浜市役所で知的障がい者が働いている!期間を限定したチャレンジ雇用ではありません。正真正銘の「市役所の職員」です。「行政こそ知的障がい者雇用の範を示す必要がある」 とおっしゃる横浜市さん。
知的障がい者職員を採用した理由、現状、今後の計画などについて根掘り葉掘りうかがってきました。
平成19年10月採用の林田さんです。「失礼します」「ありがとうございます」の礼儀正しく丁寧な挨拶が印象的な好青年です。
趣味は水泳。INAS-FID(アイナス エフアイディー)主催の知的障がい者による世界水泳大会で銅メダルを獲得しているほか、日本記録を10種目以上持っているんだとか。
平成20年10月採用の築城さんです。
相模原の職業能力開発校での職業訓練を経て入職されました。笑顔が素敵です。ご本人曰く「本番に強いタイプ」。ユーモアのセンスもすばらしいです。
担当する仕事は、資料のコピー、庁内メールの仕分け、PC入力、シュレッダー、郵送作業、起案・支出、報告書類の仕分け、電話応対、特別支援学校実習生の指導、パワーポイントによる資料作成、出張(単独で)、書類の回覧と整理などなど。極めて多岐にわたっています。
国分係長(写真右)、大村さん(真ん中)、坂井さん(左)にお話を伺いました。
おおつか:一緒に働いてみてどうですか?
国分さん:私たちが思う以上にもっともっと仕事ができたんだというのが実感です。 オフィスワークの仕事に知的障がい者が関われるということは、雇用を開始する前、3年間にわたって実施した実習で十分に理解をしていたつもりでした。 ところがその予想や期待をみごとに裏切ってくれました。
坂井さん:すでに一緒に飲みに行く仲になってます(笑)。彼らと一緒に働く中で「働ける人はもっともっと沢山いる」という実感が高まっています。
大村さん:一緒に仕事をしていて本当に楽しいです。私が励ます立場なのに逆に励まされることもあります。
おおつか:すばらしいお取り組みですね。けれども実現させるのは簡単なことではないですよね。
国分さん:4年がかりです(笑)。彼らが戦力になることを職場が理解していなければうまく行きません。まずは3年間にわたって実習生を20数名受け入れました。そして雇用する目的の整理と理解。これも大切です。
おおつか:行政が知的障がい者を雇用する目的をひと言で言うとなんですか。
国分さん:2つあります。一つ目は、行政としての責務を果たすこと。行政で働く障がい者は、いまだに身体障がいの方がメインです。知的障がい者の雇用を促進していくためには行政が率先垂範しなければならない。2つ目は、事務分野での知的障がい者の雇用の理解を進めること。知的障がい者の職域はまだどちらかというと軽作業中心のイメージが強い。沢山の市民が訪れる市役所で、知的障がい者が働いている。障がい者雇用に対するPR効果はとても大きいです。
おおつか:今後のご計画を教えてください。
国分さん:雇用数を二ケタ(つまり10人以上)にして行きたいです。できれば障害企画課以外の部署で働いてもらいたい。将来的には市役所以外の行政機関でも、ひとり、また1人という形で増えていって欲しい。そのための努力や協力は惜しみません。
~おおつかのひとりごと~
「行政だからこそやる!」国分さんの言葉から熱い熱い情熱を感じました。「制度がない」「前例がない」からというのは過去のこと。目的や意義があれば「やる」「できるまでやる」「やればできる」んですね。この取り組み津々浦々に広がっていって欲しいですね。
訪問先データ
事業所名:横浜市役所健康福祉局 障害福祉部 障害企画課 就労支援係
障がい者雇用数:2名(知的障がい)
所在地:神奈川県横浜市中区港町1-1
TEL:045-671-3992
横浜市
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/shogai/