ユニバーサル農園で全国的に有名な静岡の株式会社京丸園。やっとお邪魔することができました。熱い情熱、プロの農業家としてのノウハウ、そして経営者としての信念。
「障がい者に働きやすい環境をつくると、作業の効率が上がり、会社業績が向上する。」そう言い切る鈴木さんです。
代表の鈴木さん(中央)、総務の奥様(右)、スタッフの徳増さん(左)です。おおつか、鈴木さんとは、3年ぶりの再開でございます。
「毎日、緑を食卓に!」をコンセプトに1973年より水耕栽培の野菜を栽培。70aの水耕施設で「京丸姫みつば」「京丸姫ねぎ」「京丸姫ちんげん」などを栽培しています。
合鴨農法による米作、トマト、ごぼう、白ねぎ、さつまいもなども栽培しています。
鈴木さん:このプラントはオリジナルで開発しました。
苗づくりというのは、長年の勘と経験が必要で、我々農業家の腕の見せ所と言われていたところです。
目的は苗を作ることではなく、おいしい野菜を沢山作ることですので、苗は買うことにしました。 それで誰でも植え付けができるようになり、生産性が大幅に向上しました。
鈴木さん:これは虫取りの機械です。ローテクなんですがちょうどいいんです。 身体のリハビリにも効果があるんですよ。
トマトのハウスです。
「3年計画のまだ途中」だそうです。採用や従業員の通勤を考えて、浜松駅近郊に土地を借り、始められたそうです。
ここが京丸園の本社です。
本社の作業場では、姫ねぎの種やゴミを取り除く仕事が行なわれています。
おおつか:障がい者雇用を始められたきっかけは?
鈴木さん:25年前、20歳で農業の仕事に就きました。そのころの求人で応募があったのは高齢者と障がい者 だけでした。当時の自分達は、正直言って障がい者と、どう接してよいかわからなかったので、お断りし続けていました。それでも何度も何度も応募がありました。
おおつか:それでどうしたんですか?
鈴木さん:その10年後、今から15年前のことです。あまりに熱心に応募されるので、実習だけなら受け入れてみようかと思いました。でもいろいろ心配でした。パートがやめるのではないか、障がい者 の実習生がいじめられるのではないかなど。
おおつか:結果はどうでしたか?
鈴木さん:職場が優しい雰囲気に変わったんです。足の悪い人が通るときには、みんないすをひいてあげる、声を掛け合う。今までには見られなかった光景でした。確実に今までの雰囲気とは違いました。
そして、その結果、手作業の効率が上がったのです。
それを見て「こういう職場を作りたかったんだ」と確信しました。
健常者と比べた障がい者の働く力が劣っていたとしても、健常者の中に混ざって働くことで、トータルとしての力が上がるのではないかと思いました。
おおつか:それから障がい者雇用が始まったということですね。
鈴木さん:そうです。試行錯誤の連続でした。何にも知らなかったですしね。支援機関も十分に整備されていませんでしたし。彼らと一緒に成長してきたという感じかな。
おおつか:今の京丸園はどんな感じですか?
鈴木さん:障害のある人もない人も、若い人も高齢の方も、あたりまえに働いています。
障がい者だから利益がでない、農業だから利益が出ないというのは間違った考え方ですね。
障がい者が農業という仕事で給料をもらう。我々は利益を確保できていますよ。
1年に1人づつ障がい者雇用を進めてきました。障がい者の数を増やしてきて、会社がつぶれていないのだから、障がい者を雇用すると収益性が下がるというのは誤解だと分かるでしょ。 それと、障がい者雇用したことで、職場に活気が生まれ、若い世代の従業員が集まってくるようになりました。この業界は本当に高齢化していますから、若手人材はとてもありがたい。
~おおつかのひとりごと~
ナチュラルサポートって、こうゆうことを言うのよね、と実感しました。
構える気持ちがなければうまくいくという典型例。こんな職場が広がっていって欲しいと願います。
訪問先データ
会社概要
会社名:京丸園株式会社
障がい者雇用数:11名(身体3名、知的3名、精神5名) 実習中の障がい者数8名
所在地:静岡県浜松市鶴見町380-1
TEL:053-425-4786
京丸園 URL:http://www.kyomaru.net/