小学校教材メーカー大手の株式会社日本標準。そしてその物流部門を担う株式会社日本標準統合物流センター。今回は、営業部隊と物流部門を統合させた埼玉県日高市の事業所へ訪問しました。なんと物流センターの中に作業所(就労移行支援、就労継続B型)も同居しています。
池田博さん(日本標準取締役)と正面玄関でツーショットです。
企画・営業・受発注を担う機能と物流機能を合わせ、その建物の延べ床面積は7000坪にも達します。
ここが物流部門の現場です。壮観です。
数々の副教材や学習ノートなどがここから全国の津々浦々の小学校に発送されていくのです。
社員さんたち全員が「こんにちは」「いらっしゃいませ」と挨拶をしてくださいます。すがすがしい気持ちになります。
「よい会社」ということはすぐにわかります。
漢字ドリルなど、副教材を全国の小学校に提供しています。
現在5人の障がい者を雇用。初めて雇用したのは2004年。5年前にまず1人。そしてその翌年から1人づつ雇用していったそうです。
ピッキングの仕事、 梱包の仕事、 仕事内容は多岐に渡ります。 実は、教材のデザインは配送エリアによって微妙に違うのです。なので熟練が必要とされる仕事。あっぱれです。
雇用方針は「現業(事業に直接関係する)仕事に就いてもらうこと」だそう。 障がい者雇用のあるべき姿が自然に実践されています。
物流センター内には作業所(就労移行支援、就労継続B型)もあります。その名も、はつらつ作業所。30名の利用者が通所しています。
仕事は、日本標準からの仕事が8割、外部(リネン、スーパー)が2割です。
おおつか:障がい者雇用を始められた動機は?
池田さん: 10年前日高に物流センターを作った際、労働力確保の目的も兼ねて大規模な地域交流イベントをやりました。その中に、福祉関係者や障がい者の保護者の方もおられました。まずは、近くの作業所に教材のセット組み(いくつかの教材を組み合わせてセットする仕事)を依頼してみました。これは大丈夫、出来る。「じゃあ雇ってみよう」ということになったのです。
おおつか:障がい者雇用率の課題もあったのでしょうか?
池田さん:いいえ。当社の企業規模は障がい者雇用義務には関係ありません。「単純にいいことだから雇おうよ」で始まったんです。社長の方針でもあります。社長と私とで話し合って、具体的な計画を詰めていきました。
おおつか:トップの決断というのがポイントですか。
池田さん:トップだけではありませんよ。役員、部長クラス、現場の従業員に対しての研修も実施しました。知的障がいに対する基本的な知識、仕事を一緒にするうえでの配慮などを理解しました。「必要以上に手を出さない」「見守る」「安全面のことは遠慮なく指導する」などでした。
おおつか:社員さんたちは?
池田さん:とても自然に受け入れました。障がい者の方と働くようになって、社員たちはさらに成長しました。社員間のコミュニケーションもさらによくなりました。
池田さん:障がい者を雇用すると会社はよくなると思います。だから企業は障がい者雇用をすべきです。わからなくて雇用が進まないのかもしれないのであれば、わが社の取り組みは全部お教えする。同業他社にも見てもらいたいと思っています。
おおつか:すばらしいですね。
池田さん:世の中に彼らができる仕事はいくらでもあるんです。彼らは戦力にできますよ。普通にやっていけばできるんですよ。
~おおつかのひとりごと~
福祉と雇用の境い目がありませんでした。どこをいっても全て自然。日頃から、障がい者雇用率は会社の品格と一致するといっておりますが、その王道を行く会社でした。
訪問先データ
会社名:株式会社日本標準/株式会社 日本標準統合物流センター
障がい者雇用数:5名(知的障がい者4名、身体障がい者1名)
所在地:埼玉県日高市下大谷沢宮ノ前91番地5号
TEL:042(984)1452(株式会社日本標準狭山事務所)
株式会社日本標準
URL:http://www.nipponhyojun.co.jp/