回転寿司業界トップ、全国どこでも超人気のスシロー。大繁盛の店を全国で障がい者たちが支えていることは意外と知られていません。今回の訪問は、店舗で初めて障がい者を受け入れた調布店。調布店の成功事例をもとに全国のスシローで雇用が進んでいったという次第です。3人の障がい者スタッフのみなさんと店長に根掘り葉掘りインタビューしました。
店内。
取材にうかがった日は平日のアイドルタイムゆえこんな感じですが、土日などはものすごいお客様の数。
こちらが厨房。
平日昼間というのにこんなにたくさんのスタッフさんがお仕事しています。
通常回転寿司という業態では、魚をおろしたり、エビの皮をむいたりする仕事は、セントラルキッチン(工場)で行われます。しかし、スシローは他の回転寿司店に比べ、ネタを店で調理・加工する割合が高いのだそう。そのため、仕事は多種多様。できるだけ手間ひまかけた美味しいお寿司を、お客様に食べていただくため、複雑な工程も存在していますが、仕事量が他の回転ずしより多いということは、障がい者スタッフの活躍する職域も多いということです。
白木さん。
ネタのエビの上にチーズをのせるお仕事の真っ最中。
その次は炙りサーモンチーズの仕込み作業。どちらも繊細な作業をする能力とスピードが要求されます。バーナーを使った作業もします。包丁を使ってホタテを切る作業も。手作業で行うエビの皮むきも、身をつぶさないようにきれいに仕上げるのは意外と難しいのです。
小林さんです。
軍艦用のエビの仕込みをしています。
賞味期限のシールを貼って冷蔵庫に入れます。
小林さん、テキパキやって手が空くと、
「次は何をしましょうか」と質問。
次は赤エビの皮むきです。
多種多様なネタの仕込み作業をやります。
岩崎さんです。
洗い場で洗浄のお仕事です。実に素早いです。
動画でお見せしたい。
社長の豊﨑さんが岩崎さんの仕事の速さに感動したというエピソードの持ち主です。
店舗内外の清掃などもやります。
スシロー本部の障がい者雇用担当の荒木慶さん。
店長の浜名さんです。
障がい者雇用1号店として、スシローとして初めての障がい者の採用、育成に取り組んだ方。
おおつか:土日のピークにもシフトインするのですか?真は真剣な表情ですが、笑顔が素敵です。
浜名さん:もちろんです!彼ら抜きに土日は戦えません。
荒木さん:浜名も最初は相当戸惑っていたと思います。調布店が障がい者雇用モデル店舗に選ばれたと伝えたときの、浜名の表情を忘れられません。
おおつか:どんな表情?
荒木さん:顔面蒼白で絶句(笑)
おおつか:ショックだったということですね。
浜名さん:まったく想像もつかず、頭の中が真っ白になりました。
おおつか:で、彼らに働いてもらう上でどんな工夫を?
浜名さん:「かみ砕いた言葉」を使おうと心がけました。
おおつか:他には?
浜名さん:他にはとくに(笑)やって見せて、何度も繰り返しやってもらうぐらいかな。普通のスタッフさんと同じです(笑)
荒木さん:浜名はこのキャラですから(笑)
おおつか:このキャラ?
荒木さん:いろいろドラマはあったと思いますが、ベラベラ語らないタイプで(笑)
おおつか:なるほど(笑)
仕事が終わった3名の障がい者スタッフのみなさんにいろいろと質問。
おおつか:お店で困った時に相談する人は誰ですか?
白木さん、小林さん、岩崎さん全員:
浜名店長さんと越前屋副店長さん!
おおつか:お店で尊敬する人は誰ですか?
白木さん、小林さん、岩崎さん全員:
浜名店長さんと越前屋副店長さん!
ご自身が多くを語らなくとも、浜名さんが、きちんと指導し、信頼されていることが手に取るようにわかります。
荒木さん:スシロー店舗での障がい者雇用が可能であると浜名店長が証明してくれました。
おおつか:1号店である調布店の成功が今のスシローの障がい者雇用のフォーマットになっているんですね。
荒木さん:おっしゃる通りです。社長も調布店を見てゴーサインを出してくれました。
我々は調布店の初めて障がい者を採用する店長の中には、調布店に見学に来て参考にした者もいます。やり方を他店に広げていきました。
おおつか:本部のサポートはどんな?
荒木さん:最初のころは、私も一緒にシフトに入って店長の不安解消に努めたりしました。障がい者スタッフへの指導もしていました。その後定期的に巡回していましたが、最近はその必要もなくなりました。
おおつか:自動運転になったと?
荒木さん:調布店ではお陰さまでもはや私の役割は必要ないです(笑)たまに店舗に行くと、障がい者スタッフがこうして歓迎してくれるので、その笑顔を見て安心しています。
荒木さんと白木さんとのコミュニケーションタイムのショットです。こぼれる笑顔。ほんとうに楽しそうですね~。戦力として期待される職場、一緒に働く仲間と和気あいあいのコミュニケーションのある職場。この風景がスシローの厨房で繰り広げられている!厨房で働いている障がい者スタッフさんのことを思い出しながら、「おいしいお寿司をお腹いっぱい」食べますね!
~おおつかのひとりごと~
スシローには「障がい者のためにつくった仕事」はない。どんな人でも「完全な手洗い」という手洗い方法がマスターできなければ厨房には入れない。寿司の仕事で働くためには食事も含めた体調管理が厳しく問われる。戦力なので「いつでも休んでいいよ」ではないのである。シフトに穴をあけるわけにはいかないのである。スシローのユニフォームを着た途端、障がい者も健常者もない。「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」に向けて全力で仕事に励んでいる姿に感動しました。働きがいって「当てにされる」ことで生まれる。あたりまえのことをあたりまえに感動したおおつかでありました。
訪問先データ
株式会社あきんどスシロー
大阪府吹田市江坂町1-22-2
店舗全体での障がい者雇用数:150名
取材店舗:スシロー調布店
東京都調布市深大寺北町4-30-1
障がい者 雇用数:3名(知的)
http://www.akindo-sushiro.co.jp/