障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

障がい者の可能性を追求したら障がい者雇用率10%になりました

Bizex株式会社 福岡物流センター
坂井 博基 さん

Bizex株式会社は、オフィス用品販売アスクルのグループの企業。アスクルの商品の物流と配送を担っています。そのBizex福岡物流センターの障がい者雇用率が10%とのこと。
お伺いしないわけにはいきません!
障がい者雇用を進めた坂井さんにお話を伺います。
Bizex福岡物流センターの人事部門の業務を一手に担っています。障がい者雇用だけでなく、一般スタッフの採用や教育も担当されています。


おおつか:障がい者雇用を始めたのは?

坂井さん:最初に採用した人は一般求人からの応募でした。聴覚障がい者で補聴器があれば大丈夫とのことで、言葉も明瞭だったので、大丈夫かなあと思って採用したんですが、そう簡単ではありませんでした。すぐ退職されてしまいました。

おおつか:最初に採用した人が退職されるとショックですよね。

坂井さん:おっしゃるとおりです。障がい者というと身体障がいのイメージしかありませんでしたし、どうすればいいのだろうと。

坂井さん:その後、就労支援センターの方に「知的障がいの人はどうか」と言われました。特別支援学校の進路指導の先生からのご紹介もあり、言われるがままイメージもなく3名採用しました。

坂井さん:会社からは、3人の障がい者雇用をやるように言われていました。その方針を受けた私のミッションは、法定雇用率をクリアすることでした。障がい者は戦力にはならないと思っていましたから。ところが3人の仕事ぶりを見て、健常者以上にパフォーマンスを高めていける可能性すら感じました。


おおつか:健常者以上のパフォーマンスの可能性ですか。すごいですね。

坂井さん: 3人じゃもったいない。将来的には30人は雇用したいと思いました。けれども場当たりではうまく行かない。どのポジションでも受け入れができるよう仕組みが必要だなと思いました。

おおつか:仕組みですか?

坂井さん:はいそうです。30人を採用していくことについて会社にも、職場のスタッフにも、理解、協力してもらうことが絶対条件です。

おおつか:具体的に教えてください。

坂井:まずは実績で証明すること。障がい者スタッフの1時間あたりの生産性を計測しました。コストではなく人件費以上の仕事を十分やっているというデータがあれば誰も文句は言いません。

坂井:そしてもうひとつ。「戦力化計画」と名付けた計画を練り上げました。どのくらいの期間でどのレベルまで能力を高めるのかといった育成の具体的計画です。「ここまでできなければ追加採用はしない」と明言しました。逆に、ここまでできていれば、戦力なので追加採用できるという理屈が成り立ちます。

おおつか:それは説得力がありますね。おひとりですべてなさったんですか?

坂井:就労支援機関との連携なくしては不可能ですね。業務日誌や面談などについても特別支援学校や支援機関がなさっていることをもとにオリジナルに加工し、使わせていただいています。

現場を拝見します。

一般のスタッフと一緒に仕事をします。
障がい者用のレーンなどもちろん存在していません。
誰が障がい者スタッフで誰が健常者スタッフかはまったく区別がつきません。


ここにも。
注文のあった商品をピッキングします。

ここにも。
急ぎの注文と通常の注文のコンテナを区分けして流します。
早すぎてどうしてもぶれてしまいます。

ここにも。
商品補充の仕事です。ピッキング以上にさらに複雑な作業だとうかがいました。

その日のポジショニングがボードに掲示されています。
勤務場所と名前、時間が書いてあるのみ。
しつこいですが、障がい者スタッフが誰、健常者スタッフが誰ということは一切書いてありません。

坂井さん:障がい者が間違いなく仕事をやれるように、商品の棚札を改良しました。2万アイテムほどの商品があるなかで、誰がやっても勘違いなく、間違いなく作業できるように、コード番号と写真付き個数表示を棚札に記載したのです。

これです。

箱に何個入っているか(何個入りか)、その箱はどんな形か、
1個とはどの状態かを写真で表示しています。
これで「1個」「1箱」の勘違いが起こりにくくなります。
障がい者スタッフの生産性や精度の確保のみならず、健常スタッフも格段に仕事をしやすくなります。

商品の在庫チェック、補充業務の作業中の今福さんにインタビューしました。

今福さん:この仕事、難しくて最初はうまくできませんでした。もう無理ですとよく泣いていたんです。

おおつか:そんな姿はとても想像できません。

今福さん:坂井さんにいろいろ指導していただきましたのでやれるようになりました。

坂井さん:できてるんですよ(笑)。最初は自信がなかったのかな。ここまでやろうという目標を提示し、できたらできているとフィードバックし、できていなければできていない要因を一緒に考え改善していきました。

ハンディターミナルを使いながら、商品の在庫チェック、補充作業が進みます。

坂井さん:現在24名の障がい者が働いています。30名やると宣言してやってきたからできたことだと感じています。そして彼らの仕事ぶりが追加採用を後押ししてくれています。この調子でいけば30人は現実的な数字ですね。

おおつか:楽しみにしています!

~おおつかのひとりごと~

障がい者雇用専任ではなく、人事全般の業務をご担当されている坂井さん。 「そりゃあ、24人も障がい者を雇用してるといろいろありますよ。」忙しい最中に、相談や面談が入ると、「大変じゃないと言ったらウソになる」でも「あきらかに困ってる表情してるんだからやるしかない」と正直におっしゃるのもリアルな感じで逆に素敵。仕事終わりに、障がい者スタッフ全員が坂井さんのデスクによって挨拶をして帰るのだとか。「ギャグを言って帰ってくれると和む」と。そして、採用するにあたって他社を見学して「活躍させてない会社が多いことも知った。もったいないなあ」おっしゃった言葉が印象的でした。

訪問先データ

会社名:Bizex株式会社
福岡物流センター所在地:福岡県糟屋郡粕屋町大字阿恵字阿恵の前347-1
従業員数:250人(うち障がい者数:24人)

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