障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

会社の発展を支える貴重な労働力として期待しています

東朋産業株式会社
代表取締役 村田 茂行 さん

東朋産業株式会社は、群馬県を中心にビルメンテナンス業、警備業、人材派遣などの事業を展開しています。2009年から本格的に障害者雇用をスタート、市役所、病院、大学など、たくさんの現場で障害者スタッフが活躍しています。今回取材に伺った群馬中央病院には、3名の知的障害者が日常清掃業務で活躍しています。

障害者スタッフのおひとり。瀧澤智美さん(入社7年目)のお仕事の様子を拝見します。

病棟のトイレ清掃では、テキパキとした手つきで次々と各個室の便器を磨き上げていきます。

おなじく病棟の廊下のダスターモップ掛け。忙しく働くドクターや看護師さんたちの動線を遮らないよう、配慮しながら仕事を進めます。

副主任の林ふささん
障害者スタッフの仕事を見守っています。
自らも清掃を行いながら障害者スタッフたちの指導を担当。仕事には厳しいけど面倒見がよくて優しいとみんなから慕われているそうです。

林さん:滝澤さんは、どんなときも休まずに出勤し、頑張ってくれて助かっています。

左から主任の撹上貴さん、武藤遥さん、小林美樹さん、瀧澤さん、林さん。 武藤さんは今年春に入社、小林さんは4年目で、日常清掃の各作業のほか、 ワックスがけなど同現場の定期清掃でも活躍しています。

おおつか:病棟内で働く障害者スタッフの皆さんの仕事ぶりを見せていただきました。一般の清掃スタッフとまったく変わらない仕事ぶりに、大変感動しました。

村田さん:よく頑張ってくれているでしょう。本当に助かっていますよ。文字どおり戦力ですね。

おおつか:障害者がスタッフとして加わるということについては、どのように病院の理解を得たのですか?

村田さん:「今度、障害者スタッフが入ります」とご担当に伝えましたら、「いいですよ」と。

おおつか:それだけですか?

村田さん:はい、それだけです(笑)。障害者の受け入れに関しては、建物オーナー様の窓口となる担当者の方の意識によって決まります。断られる現場もありますが、そのときは「そうですか」と、それ以上は無理に配置しません。

おおつか:なるほど。現場自体が受け入れNGなのではなく、担当者さんがOKなのかNGなのかということなのですね。

村田さん:担当者の方次第なので、断られても、その現場の障害者の受け入れは永遠に不可能だということでもありません。担当の方が変われば受け入れが進むこともありえます。もう一つ、その方に相談をさせていただく側の、弊社の現場主任の意識も大きなファクターです。現場主任が大丈夫だと思っていれば、相手の方にも、自信を持って「障害者がスタッフに加わります」と言えますから。

おおつか:その主任はなぜ「大丈夫」と思えるのですか?

村田さん:いきなり「明日から頼む」と言われても困惑すると思いますが、事前に必ず実習をやりますので。実習で一緒に仕事をすれば、一緒に働けるかどうかがよくわかるんです。

おおつか:実習が決め手なんですね!実習期間中、主任は実習生(障害者)のどこを見てるんでしょうか?

村田さん:働きたいという気持ちがあるか、きちんと話を聞けるか、協調性があるかなどの点を見ています。仕事ができるかどうかはあまり重視していないですね。

おおつか:職務スキルは重視しない。それはなぜでしょう?

村田さん:仕事はやっていくうちに必ずできるようになります。どんな人だって、最初はみんな素人です。働くうえで重要なのは、実は意欲や協調性の方で、これはなかなか教育が難しいですからね。

おおつか:仕事は現場のスタッフが指導を?

村田さん:そうです。主任、副主任をはじめ、一般の社員やパートスタッフなど、現場で一緒に働くス タッフが指導します。現場のスタッフは比較的高齢者が多く、障害者スタッフたちはだいたい若いので、自分の子供や孫のように可愛がってくれます。

おおつか:現場のスタッフから抵抗はなかったのでしょうか。

村田さん:ありませんでした。主任と副主任がしっかりやってくれているからだと思います。彼らは人材育成のエキスパートです。障害者スタッフだけでなく、多様な能力や個性を持った清掃スタッフみんなが協力して働けるように配慮し、能力を引き出そうと日々頑張ってくれているおかげですね。本当に感謝しています。

おおつか:障害者雇用を積極的に進めるようになったきっかけは?

村田さん:行政関係の建物清掃を受託した際、障害者雇用にも協力してほしいと依頼され、受け入れたのがきっかけです。より積極的に雇用するようになったのは2009年くらい。企業の「顔」としてお客様の前に出せる戦力だということがわかってきたので、可能な限り現場に入れていきました。

おおつか:たくさんの現場に障害者スタッフを配置されてこられましたが、工夫されたことはありますか?

村田さん:「できることをやってもらう」という方針を現場に伝えています。実習や面談を通じてその障害者スタッフの能力や得意分野を把握し、その人に合った仕事を割り振っています。

おおつか:そうなんですね。

村田さん:もうひとつ。基本的には障害者スタッフ一人のみでなく、複数人数での仕事を心がけています。困ったときのフォローができますし、障害者スタッフも安心感を持って仕事に取り組めます。一般スタッフのなかで面倒見がよく、適性がありそうな人をリーダーにして、そのフォローにあたってもらっています。

村田さん:清掃業界で働くスタッフは高齢者も多く、労働力の確保が常に課題です。労働人口は年々減少していく一方ですから。弊社も毎週のように求人広告を出していますが、なかなか集まりません。障害者スタッフの方々は労働力としてとても優秀で、実にありがたいです。今の仕事を維持していくためにも、今後の発展のためにも、もっともっと彼らの活躍の場を作っていきたいと思います。

おおつか:最後に、障害者雇用を検討中の企業に向けてメッセージをお願いします。

村田さん:きちんと教育すれば絶対に答えてくれる存在です。企業は彼ら(障害者)にもっと期待していいと伝えたいですね。最初は不安を感じると思いますが、まず実習などからやってみることをおすすめします。

~おおつかのひとりごと~

群馬県内で障害者雇用に課題を抱える企業のへのアドバイスや支援を行う「群馬県障害者就労サポーター企業」に登録し、県内企業の障害者雇用推進にも協力されているそうです。「 一人の人件費分の仕 事が十分できるということを知ってもらって、間違った先入観を払しょくしたい」と社長の村田さん。障害者雇用のもたらす成果を確信している企業だから言えることだなあと感じます。

訪問先データ

会社名:東朋産業株式会社
所在地:群馬県前橋市総社町桜丘1225-2
障害者雇用人数:20人(知的、精神、身体)
http://www.tohogroup.co.jp/

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